少年期の最終章 | 緋の幻影

少年期の最終章

人前にはとてもさらけ出せないような人相のお兄さん達がウロウロしている部屋でいきなりビンタを
張られた、唇が切れ血が飛び散った。
 「未成年だからな後がうるせえ、めだたねえように可愛がってやれ」
頭を殴られ、足をけられ、ついでに頭突きを食らった。
 「いててて、いてーよ!」
「あらいざらいしゃべらねえともっと痛い目にあうぜ」
ついに陥落、本名、住所、親父の名前を白状した。
「うん?! セイ次郎さんの息子か?」
 「はい」
 「おい、お前らやめろ、手を出すな」
 「セイ次郎さんの息子かー、こりゃややこしい事になったな」
 「どういうことですか?」
 「お前の親父さんには昔世話になった事があってな、借りがあるんだよ」
 「・・・・」
「エミの事は無かったことにする、その代わり今日の事は忘れろ、親父さんにはどこかで
  ケンカしたとでも言っとけ、いいな!」
というわけで、いきなり世の中の苦さを知った。
親父にばれずにすみそうだ、暫くはおとなしくしていようと思ったが一週間もたたない内に
またもや女とのトラブル、悪い事は続く。
以前付き合った女(金を借りて踏み倒した)が電話で親父に告げ口をしたのだ。
そうとも知らず、学校から帰ってきた私にいきなり親父の鉄拳制裁、さらには箸で手首を
刺された、その古傷はいまだに残っている。


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