青年期の壱 - 七 | 緋の幻影

青年期の壱 - 七

酒と女にあけくれた毎日であったが、昼間は結構お寺参りをしていた。
初日の観光ハイヤーの運転士さんがすごくいい人で5日間連続で都ホテルに
迎えにきてもらい半日観光でいろんなところを案内してもらった。
同じホテルに一週間も滞在しているとさすがに気まずくなり、南禅寺そばの和風旅館に引っ越した。
この旅館は一泊でさよならした。
原因は夜中に女を呼び、お取り込みの後、
女が出てゆくときにおかみに見つかり、いやな顔をされたからである。
二条城近くのホテルに居点を移した。
そこも3日間でチェックアウトし、御池通りのホテルに移り、華々しい夜の生活を楽しんでいたが徐々に疲れてきた。
頭のしんからしびれるような孤独感が身体全体に広がり、観光も苦痛になり、
ホテルで天井を見つめながらボーっとしている状態になった。
木屋町に京都おばんざいの店「蔦」という、65歳位のおばあさんが1人で切り盛りしている小じんまりとした店で、過すようになった。2坪ほどでカウンターにとまり木5つの本当に小さな店だが食物は、ばつぐんに旨かった。
このおばあさん「木屋町のおかはん」とは京都を去るまでの間4,5回デートをした。
とくに北野天満宮から上七軒にかけての散歩は消し炭のようにほのかな温かさで想い出に残っている。

京都どんづまり、ノーリターン旅行の終焉が近づいていた。




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